中国嫁日記でお馴染みの井上純一「月とにほんご 中国嫁日本語学校日記」の感想です。
今回は月さんが日本語学校に通っていた時代を中心に描き下ろされた漫画となっております。
やはり中国人が日本で暮らすには日本語を勉強しなくてはなりませんものね。
ところが日本語は話すのは簡単でも書く・読むが物凄く難しいと判明するから相当苦労したと分かります。
また日本語学校で出来た中国人や韓国人の友達との面白くて感動的な友情も見所です。
感想は続きからどうぞ。
事の発端は月さんが突然日本語学校に行くと決めた事から始まります。
中国でも日本語学校に通っており、日本では日本語教室に通っていた月さんですが本格的に日本語を勉強するには日本の学校に通わないとダメだと考えた模様。
でもそこが3ヵ月で授業料約10万円の高額な所だったからジンサンは頭を悩ませます。
そこでジンサンが思い付いたのは、月さんが日本語学校に通った時の話を漫画にして本にする事で元を取ろうというものでした(^^;
そんな経緯でこの本は作られたのかよwww
後日何故そこまで授業料が高いのか発覚しますが、どうやら中国人や韓国人などの留学生が日本の大学に入学する為に日本語を学ぶ学校だったようで、月さんのように中国嫁として日本語を習う為に通ってる人はほとんど居なかったと分かります。
月さんが日本語学校で仲良くなった友達の一人に韓国人の美少年・ソンヒくんが居ます。
親が超金持ちで高級マンションに住んでおり、成績もトップという申し分ない人物ですが、余り人と接するのが苦手なようでクラスで浮いてる存在だったとか。
ソンヒくんの話から韓国人が日本語や日本人にどういったイメージを持ってるのか分かるのが面白いですね。
日本語は韓国語と発音も文法も似てる為覚えやすかったそうです。(逆に中国語は難しい模様)
ただ何故日本で韓流スターやK-POPが流行ってるのか韓国人は全く理解出来ないんだとか(^^;
中国嫁日記に出て来たゆんちゃんもこの日本語学校で知り合います。
同じ中国嫁という事で意気投合し、一番仲の良い友達になったようです。
それゆえに日本語の難しさも共有出来、音読みと訓読み、平仮名とカタカナの使い所が分からないと二人で愚痴を零してました。
ただこれは他の外国人全てが思う事のようで、日本語は読み書きが他の言語と比べて物凄く難しい事が分かります。
同じ中国人でも好みの違いなどはもちろんありますが、その中で興味深かったのがほとんどの中国人がパンダを猫の仲間だと思ってる事ですね。
中国語でジャイアントパンダが「大熊猫」と書かれてるからのようですが、月さんは熊の仲間と知ってる為口論になった事もあったとか(^^;
ちなみにパンダは元々はレッサーパンダ(小熊猫)の事を指す為漢字に猫が使われてるのであって、月さんが言ってる事の方が正しいと分かります。
もう一人仲良くなった男友達に周りから「ニコニコさん」と呼ばれてる中国人のカンコウ君が居ます。
ニコニコさんは苦学生でいつも勉強とバイトで忙しそうにしてるものの、笑顔を絶やさず元気で明るい性格だそうです。
ただ常に騒いでいてうるさい為ゆんちゃんは嫌いだったとか(^^;
そんな彼が自分とは正反対のタイプのソンヒくんと友達になるから皆驚いてました。
家が近かった事もありますが、どうやら二人ともオンラインゲームが好きなようで一緒にプレイしていたようです。
ちなみにソンヒくんもニコニコさんも故郷に彼女が居るとか。
その他に学園一の美少女韓国人・ミョンちゃんとも友達になる月さん。
ところがその娘が後にとんでもない事をしようとしてある事件が起きたそうです。
日本語学校の先生も個性的で全身ピンク色の服を着た校長先生や、教えるのは上手いけど物凄く厳しいワダ先生の話が面白いです。
校長先生の息子はかなりのオタクなようでジンサンのサークルが作ってるフィギュアも知っており、中国嫁日記が始まる前から彼の事を尊敬していたんだとか。
ワダ先生は笑顔が素敵だけど怒ると物凄く怖くて厳しい為、ニコニコさんもミョンちゃんも何度も怒られて怖い思いをしたそうなw
その話を聞いてジンサンは中国嫁日記にワダ先生を描いたものの、実際に会ってみたら想像していたのよりずっと若い先生だと分かりイメージ像がかなり違ったと分かります。
特別企画として大学教授の矢澤先生を招いての日本語講座を受けた月さん達。
日頃から疑問に思っていた「~するモノだ」と「~するコトだ」の違いや、平仮名とカタカナの違いなどを教えて貰います。
ところが矢澤先生によると日本語には正解というものが無い模様。
そもそも言葉の違いというのは多くの例を集めて比較して大まかに結論付けるものだと矢澤先生は言ってました。
また日本語は「変化する言語」と言い、時代によって意味が全く異なっていると答えます。
例えば「全然」は少し前までは否定の言葉でしたが最近では肯定の言葉としても使われるようになって来ており、さらに昔には「全て」の意味として使われていたというから興味深いです。
「日本」という字も元は「にっぽん」と呼んでいたのが皆が「にほん」とも呼ぶ為今ではどっちでもOKという事になってるそうな。
中国人が日本語を学ぶ上で苦労するのが同じ漢字でも意味が全くものがある事です。
例えば「手紙」は中国ではトイレットペーパーを指し、「湯」はスープを指したりと本当に全然違うから混乱するのも当然と分かります。
さらに面倒なのが中国語の漢字の多くが簡体字なのに対し、日本語の漢字の多くが繁体字な事。
昔は中国も繁体字を使っていたのに今では台湾でしか使われてないというから覚えるのが大変なんだそうな。
一見すると同じような漢字をしてる為覚えやすそうにも思えますが、逆に似過ぎてるからこそ間違えて中国語を使ってしまう事も多く困ってると分かりますよ。
確かにこれだけ似てる文字で意味まで違うとなると覚えるのが本当に難しく思えてしまいますよね(^^;
苦労して覚えた日本語の成果が試されるのは年二回あるという日本語能力試験でです。
英検のように等級があるようで一番難しいN1に受かると内申書にプラスになる模様。
月さん達はN2を受けますが、そこでも色々と悲喜こもごもがあったようです。
成績1位2位のソンヒくんとゆんちゃんが落ちてしまい、月さんだけが合格したそうですね。
平仮名とカタカナの違いは元々日本語は漢字と平仮名のみだったものの、外来語をカタカナで表現する内に曖昧になって今では色んな単語に使われるようになったと矢澤先生は言います。
ただそれを教えられても月さんにはやっぱり使い所が分からないらしく、他の皆も例外なく困ってると文句を言ってました(^^;
矢澤先生はその他にも月さんの疑問に色々と答えてくれ、「結構です」の使い所や「すみません」と「ありがとう」が同じ意味として使われる理由、日本で「白」の反対が「紅」として使われてる経緯などを解説してくれてるから日本人の私達にも凄く勉強になりますよ。
「速攻」がスラムダンクの影響で広まった事や、今では当たり前に使われてる「独壇場」が元は「独擅場」の書き間違えだった事、「消耗品」を「しょうこうひん」と読んでいた事なんか今の若い人はほとんど知らないでしょうね~。
長らく日本語学校に通っていた月さんですが、そこであの未曾有の大災害に巻き込まれる事となります。
東日本大震災当日、月さんは日本語学校に居たものの物凄い揺れを感じてとても怖い思いをしたそうです。
一緒に居合わせたクラスメイト達は皆故郷に帰ると言い出し、日本の地震の恐ろしさを実感して顔を青褪めさせてました。
そんな中でいつもと変わらない明るさだったニコニコさんにとても励まされた模様。
そのニコニコさん、なんと四川大地震にも巻き込まれていたようで後一歩で死ぬ所だったというから驚きですよ(^^;
中国嫁日記でも語られてる通りその後ゆんちゃんと月さんは迎えに来た旦那と帰宅し、ニコニコさんとソンヒくんとミョンちゃんは居酒屋で時間を潰す事となります。
ところがそこでミョンちゃんが驚くべき行動を取るからある意味震災以上に大事件が発生していたと分かりますよ。
美人で男子からモテモテのミョンちゃんですが、どうやらソンヒくんの事を狙っていたらしく月さん達と別れた後猛アタックした模様(^^;
ソンヒくんは故郷に彼女が居ますが、それを知っていながら遠慮無しに寝取ろうとするミョンちゃんが恐ろしいですねwww
ハンターの如く狙った獲物は逃さないと、震災を利用してソンヒくんを自宅に連れ込みヤる気満々だったというから逞し過ぎますよ。
積極的過ぎるミョンちゃんに気弱なソンヒくんが困り果ててると、そこをニコニコさんが空気読まずに割って入ってソンヒくんを連れ出します。
でも実はニコニコさんはソンヒくんが困っていたのに気付いており、嘘をついてまで自分を助けてくれたと知ってソンヒくんはとても感謝してました。
こうして友情を深め合った二人ですが、その日を最後に別れる事になったというから悲し過ぎます。
震災後、ソンヒくんは親の命で故郷へ帰らざるを得なくなり、ゆんちゃんも中国に帰ってこれからは良き妻良き母として家庭を守る事に決めます。
ニコニコさんはクラス分けで離れ離れになり、月さんも日本語学校を辞めてしまい皆バラバラの人生を歩む事になったそうです。
日本語を通じて知り合った友達と震災を切っ掛けに別れる事になって悲しむ月さんの気持ちが切ないですね~。
それでも日本語のお陰で皆と友達になれた事をとても幸せを感じる月さんでした。
日本語学校に通う月さんを通じて中国人や韓国人が疑問に思う日本語の事を詳しく知る事が出来て面白かったです。
日本人が当たり前に使っている言葉が外国人にとってはおかしいな事だらけと分かってとても興味深かったですね。
正しい意味や使い所をちゃんと理解せず使っている事も分かる為非常に為になりますよ。
月さんの友達がまた個性的で漫画の登場人物として申し分ない魅力的なキャラだったのが印象的でした。
それだけに震災で離れ離れになる事になったというのが余りにも悲しかったです。
やっぱり言葉というのは人と人とを繋げるコミュニケーションなんだな~。
月さんにはこれからもっと日本語を好きになって欲しいですね。
まぁ今はジンサンと共に中国に引っ越してしまいましたけど(^^;
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震災編から中国旅行編まで。可愛い中国嫁と過ごす日常生活!「中国嫁日記」第2巻中国人のお嫁さん・月さんがメッチャ可愛い!「中国嫁日記」第1巻
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コメント
名無権兵衛
2013/02/25 URL 編集
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2013/02/25 URL 編集
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2013/02/27 URL 編集