電撃大王ジェネシス連載中の大月悠祐子「妄想少年観測少女」第1巻の感想です。
かなん別名義の大月悠祐子最新作はちょっとエッチな妄想ラブストーリー。
思春期の少年達が片想いしてる女の子に様々なエロ妄想をするのが見所ですが、それだけでなく想われてる少女視点の話との前後編になってるのが面白いです。
また男女共にある物に執着しておりフェチ性が高い所が魅力的ですよ。
感想は続きからどうぞ。
一番目の妄想少年・相原裕は才能溢れる美術の天才です。
また女性の肌にボディペイントしたいという強い願望を持っており、頼める相手もおらずフィギュアなどに描いてで代用する日々を送っていました。
そんな彼が憧れるのは汚れなき完璧な「肌」を持つ学園のマドンナ・柏木真由。
一度で良いから彼女の肌に絵を描いてみたいと何度も何度も想い、頭の中で裸にしてボディペイントする妄想を繰り返していた裕です。
現実は真由に話し掛ける事も出来ず、彼女の裸体を想像して絵に描く事で紛らわせていましたが、ある日突然大きな転機が訪れます。
ひょんな事から真由のヌードイラストを本人に見られて絶体絶命に陥る裕ですが、なんと意外にも真由にそれを気に入られてしまうから驚きです
しかも彼女はある交換条件を聞いてくれるなら自分の肌に絵を描いても良いと言って来るから裕は信じられないと内心大喜びしますよ。
真由が出した条件とは筆ではなく指で直接絵を描いて欲しいというものでした。
ただでさえ憧れの女の子の裸を見れて大興奮なのに直に触れて良いというから裕はもう気が気じゃありません。
さらに彼女を押し倒してしまうも真由は怒る事もなく、むしろ興奮した様子で裕の指を舐めて来るから非常にエロいです♪
まるで誘っているかのような仕草で裕を惑わす真由ですがもちろんそれには理由がありました。
裕が真由の「肌」で妄想していたように、真由もまた以前から裕の「手」で妄想していたのです。
真由視点でストーリーが描かれる後編では何故裕の「手」に執着するようになったのかその経緯が描かれています。
元々は男子の粗暴な性格が苦手だった彼女はいつしか「手」にのみ恋をするようになり、本人と付き合いたいとかいう感情は無く裕もその一人に過ぎませんでした。
しかし裕の描く美しい絵を見てからすっかり彼の「手」の虜になってしまい、一度で良いから裕の「手」で触れられたいと妄想する日々を送っていた模様。
美術室の窓を破ったのも彼女なりの勇気の表れで、裕以上に憧れの人と親しくなれた事を夢心地に感じていた事が分かります。
裕の「手」でエロい事されたいと妄想する真由がエッチな娘ですね♪
「肌」と「手」、お互い相手の身体の一部にフェティシュズムを感じていた裕と真由。
これだけ考えればお似合いのカップルにも見えますが世の中そう上手くは行きません。
裕は「肌」を通して真由を見ていたのに対し、真由はあくまで「手」しか見てないから裕は不満が募って思わず彼女を押し倒してしまいます。
憧れの彼女の「肌」に絵を描く事が出来るようになっても自分の人間性に関して全く興味を持って貰えないのは辛いでしょうね。
しかし真由は裕が何に怒っているのか全く理解出来ず、彼の「手」にのみ強い執着を示していました。
二番目の妄想少年は裕の親友・新城和貴。
クールなメガネ男子の彼にはある秘密があります。
それは真由の親友・金沢はるかが義理の妹という事。
学校では極力話さないように関係を隠している二人ですが、実は毎日の如く和貴の部屋にはるかが上がり込むほどの親しい仲だったりします。
その詳細は幼い頃お互いの両親が再婚して一時的に義兄妹だったらしく、その後離婚して別れたのが高校で再会し再び交流を持つようになったそうです。
和貴もはるかも既に実の親はおらず、今は義理の親に育てて貰ってるという複雑な家庭環境にあります。
はるかは和貴を義兄として慕っているも男としては意識しておらず、今は付き合ってる彼氏がいる模様。
もっともすぐに快楽に走ろうとする男の性欲を嫌っており、キスすらさせる事なく何度も付き合っては別れるの繰返しをしているようですが。
そんな彼女も和貴だけは他の男とは違い気を許せるようで、結局義兄と居る時だけが心休まる事が出来るようです。
しかし和貴の方はそうではありません。
和貴ははるかを女として見ており、彼女の「忘れ物」をコレクションしては淫らな妄想に耽るという性癖を持っているようです。
来るなと言っても部屋に入り浸るはるかに表面上は毒舌を穿いてるものの、本心はいつ理性が跳んでしまうか分からずハラハラドキドキしてるようですね。
ようするにツンデレメガネッ子って事か(^^;
そんなある日、はるかがずぶ濡れで部屋にやって来るから和貴は何事かと驚きます。
どうやら彼氏に強引に迫られて逃げて来たようですが、和貴も出来るものなら今すぐ義妹を押し倒したいというような顔をしてましたよ。
それでも義妹を傷付ける事は出来ないと良い義兄を演じ続ける所がなんとも切ないですね。
後編のはるか視点では義妹目線での義兄の観測が描かれます。
はるかは和貴の「髪」に執着しているようで幼い頃からよく触っては嫌がられていた模様。
高校で再会したのを機に和貴の部屋を訪れるようになったのは父親に捨てられて家に他人しか居なくなってしまったからのようです。
それからもはるかは昔と変わらず接してくれる義兄をずっと慕っていましたが、和貴が自分の「忘れ物」を集めて引き出しに仕舞ってるのを見てから戸惑い始めます。
もしかしたら和貴は自分を女として見てるんじゃないかと思い始め、それを知らずに義兄の前で肌を晒したり下着を見せたりしてた事を思い出して恥ずかしがりますよ♪
それを切っ掛けに和貴と喧嘩してしまいますがやっぱり行く所が無くて部屋に戻って来てしまうはるか。
そこを和貴は次部屋に入ったらもう義兄妹には戻れないと言いますが、はるかはそれでも構わないと和貴の告白してキスをします。
結局の所はるかもずっと和貴を特別に想っており、義兄として慕っていたのは部屋に来る口実を失いたくなかったからのようですね。
両想いならばこれからは彼女として部屋を訪れれば良いだけですから。
三番目の妄想少年はクラスメイトの木村さんに憧れる鈴木清信。
平凡で単純おバカな清信は木村さんの読んでる本を自分も借りて、あわよくば彼女の方から声を掛けて貰いたいと邪な考えを抱いてるような極普通の思春期男子です(^^;
そんな事を続けていたら図書委員のメガネッ娘・山田に顔を覚えられ、木村さん目当てで本を借りているのがバレてしまいます。
いきなり話し掛けられて嫌味を言われた清信は彼女への印象を悪くしますが、元々彼は「メガネ」に対して特別な嫌悪感を抱いていた模様。
「メガネ」を掛けてる奴にロクなのは居ないと思っており、彼女ともなるべく関わらないようにしようとします。
しかし山田に鈴木さんと親しくなる方法を教えられてつい言う事聞いてしまい、さらに本の趣味が合うという事で話す機会も多くなって逆に親しくなってしまう清信です。
そのせいで徐々に彼女に興味を抱き始め、次第に可愛いと思い始めて是非「メガネ」を外した素顔を見てみたいと思うようになってしまいます。
しかもそんな時に和貴とはるかのキスシーンを目撃してしまうから思わず山田とキスする妄想をしてしまいますよ♪
さらに「メガネ」を外した山田の可愛さに完全に心奪われてしまい、最早木村さんの事など忘れてしまっていました。
後編は次巻に続きます。
思春期の少年少女の淡い恋に特殊なフェティシュズムを銜えたラブストーリーが面白かったです。
身体の一部や物に執着し、それを切っ掛けに想い人との関係を深めて行くという設定が新しくて見所あります。
しかしそのせいですれ違いが起きたり心揺さぶられたりするのがまた切なくて魅力的でした。
これまでかなん作品、大月悠祐子作品よりもちょっとエッチなシチュエーションが多いのも嬉しいですね♪
妄想少年パートと観測少女パートに分かれて前後編で一組の男女を描く手法も良いと思います。
山田ちゃんのパートが次巻に跨ぐのがちょっと不満ですが(^^;
まぁ11月には2巻が発売されるようなのですぐの辛抱でしょう。
彼女が何故清信に声を掛けたのか、何が切っ掛けで好意を抱くようになったのかその理由が気になりますよ。
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