法で裁けない悪人を呪い殺すのは悪い事か？！グランドジャンプ連載中の真倉翔×岡野剛「霊媒師いずな Ascension」第3巻の感想です。
現代社会に潜む悪霊や妖怪と戦い続けるいずなにはこれまで様々な難敵が立ち塞がって来ました。
千佳羅や駄業鬼など強力な霊力を持つ霊媒師や妖怪などもそうですが、彼女にとって一番手強いのは他ならぬ普通の人間です。
特にどれだけ痛い目を見ても決して改心しない悪人や犯罪者には、いずなの生き方や考え方に大きく影響するほど手を焼かされて来ましたね。
今巻ではこれまででもっとも手強い人物がいずなの前に立ち塞がる事となり、彼女の心に大きな傷を残す余りにも悲し過ぎる事件が起きてしまいます。
感想は続きからどうぞ。
今巻登場するのはとあるお嬢様学校でアイドル的な人気を誇る少女・松江ミサです。
ミサは成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗と非の打ち所のない才女で全校生徒の憧れの的でした。
そんな彼女には実は霊が見えるという特異体質があり、どうしても叶えたいある望みがある模様。
そんな時にいずなと出逢ったミサは彼女に霊能力を教わりたいと弟子入りを志願します。
それをいずなは断りますが、ミサは毎日毎日雨の日も風の日もやって来て弟子入りを申し出るから困り者です。
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雨の中何時間もひたすら待ち続けるミサにいずなはついに根負けして家に招き入れます。
ただし弟子入りの前にテストを行うと言い、彼女に弱い妖怪を除霊してみるよう命じて。
実はその妖怪は人間の憎しみを映し出す力があり、それでミサの心の中にある闇の正体を暴こうといずなは考えたようです。
その結果、ミサは自分の兄を殺した悪人に復讐する為に霊能力を学ぼうとしていた事を知られてしまいます。
当然そんな動機を持つミサにいずなが霊能力を教える筈もなく、復讐なんて馬鹿な事は諦めるよう追い返してました。
いずなに見放されて泣き崩れるミサですが、そこをよりにもよって千佳羅に目を付けられてしまいます。
なんと千佳羅は彼女に呪術を教える事にし、復讐を手助けしようとするからとんでもない事になりますよ。
千佳羅のお陰で未熟ながらも霊能力を習得したミサは練習台に見知らぬ悪党を呪い殺すよう指示されます。
それに気付いたいずなは復讐の為に人を殺すのは間違ってると説くものの、殺意の炎を燃やすミサの心には届く事はありませんでした。
いずなを偽善者呼ばわりする千佳羅の言葉が胸に突き刺さって痛いですね・・・。
ミサは小さい頃に兄を悪徳医師の手術ミスで失っており、霊が見えるせいで犯人を知りながらも誰にも信じて貰えず辛い思いをして来た模様。
7年もの長い間に積もり積もった復讐心は容易く消える筈もなく、さらなる霊能力を身に付ける為に無関係の悪人まで手に掛けてしまいます。
もっとも相手は一命を取り留めましたが、そのお陰でミサも命を落とさずに済んだというから衝撃的です。
千佳羅が言うには人を呪い殺すと反動で自分も死ぬそうで、千佳羅のように呪殺しても無事になるには相当な霊能力を身に付けなければならないと分かります。
「人を呪わば穴二つ」ということわざ通りのリスクが呪殺にはあるという事なのでしょうね。
霊能力を身に付けるには時間が掛かる為、千佳羅はミサに今は復讐は忘れて人生を楽しむよう教えます。
呪いに関してはシビアな千佳羅ですが、それ以外は甘いものや可愛いものが好きな極普通の女の子だと知るミサです。
どうやら千佳羅にも復習したい相手が居るようですね。
だからこそミサの気持ちが分かり、力を貸そうと思ったのでしょう。
千佳羅も自分が思ってる以上にミサに入れ込んでると自覚しており、初めて出来た弟子に特別な想いを注いでいるようでした。
しかしミサにとって今の自分を占めているのは復讐心のみであり、いずなの忠告も千佳羅の優しさも届く事はありませんでした。
いくら悪人でも自分と関わりの無い相手を呪い殺す事はミサには出来ず、復讐したいのは唯一人だからと未熟な力で犯行に及ぼうとするから大変です。
悪徳医師を追い詰めたミサをいずなが止めようとするものの、千佳羅の方は彼女の決意の強さを知って仕方がないと呪殺を許可するから邪魔されてしまいます。
「呪いを使いたい者の心は呪いを使うものにしかわからない」と述べる千佳羅の言葉が無情過ぎますね～。
そして望み通り悪徳医師を呪い殺したミサは反動によりいずなの目の前で死んでしまいます・・・。
最期に人を呪い殺す事はやっぱり間違ってると認め、いずなの考えが正しいと言い残して無残に砕け散るミサが余りにも悲し過ぎましたよ（つд｀）
結局彼女を救う事が出来ず泣き叫ぶいずなの姿が胸に突き刺さりますね。
千佳羅もひっそりと涙を流し、大切な弟子を失った悲しみに打ちひしがれていました。
今回の事でいずな達三人の復讐に対する異なる意見は読んでて考えさせられるものがありましたよ。
後半はいつもの本作に戻って現代社会に潜む悪霊や妖怪に惑わされる人々の話が描かれます。
まずはブラック会社に勤めるサラリーマンの事件で、深夜までのサービス残業や福利厚生一切無しながらも平然と仕事をし続けるというなんともリアリティのある設定で親近感沸きますよ（＾＾；
とある調査によると月の残業が100時間を超えると過労死する危険性が出て来るそうですが、それでも他に就職する所がないからとブラック会社で働き続けてる人は世の中に大勢いると思います。
このサラリーマンの場合は女社長に妖怪が取り憑いており、彼女もまた仕事に忙殺される余り子供を失うという悲しい原因があったのでいずなの力で解決は出来ました。
しかしこういうのは特例に過ぎずほとんどのブラック会社は経営者が従業員を蔑ろにしてるから生まれるんですよね。
そういう企業で働いてる人は過労死する前にとにかく一度誰かに相談してみる事をお勧めします。
ホント日本人は働き過ぎだと思いますよ。
次は地下アイドルにハマった男のお話。
そのアイドルが実は幽霊で自分を熱烈に応援してくれるファンをあの世へ引き摺り込もうとしていた為いずなが止める事となります。
でもそこでいずなは女のアイドルとして永遠に輝き続けたいという執念と、死んだ後もずっと応援し続けたいというファンの強い想いを見せつけられて二人の間には断ち切る事の出来ない絆があると思い知らされますよ。
今はアイドルも使い捨ての時代で次から次へと湧いて出て、その時その時に自分に合ったアイドルをファンも見つけられますが、たった一人のアイドルを一生涯応援し続ける人こそ真のファンだと私は思います。
そんな数少ない真のファンに愛されたらアイドル冥利に尽きるというものでしょうね。
前巻登場した吸血鬼でホストをしているレイですが、なんとシスターの沙聖に一目惚れしてしまうからややこしい事になります（＾＾；
なんでも吸血鬼は一生涯愛すると決めた女性を見つけたらその人と結婚して子供を設ける決まりになってるんだとか。
しかしよりにもよってそれがシスターの為、吸血鬼のレイは彼女の聖なる力に近付く事も出来ず困り果てます。
十字架を見て身体を焼かれ、聖水を浴びて身体を焼かれ、聖書を読まされて身体を焼かれ、マリア像に触って身体を焼かれるレイが悲惨過ぎてウケますよｗｗｗ
それを見て余りにも憐れになったいずなは力を貸して沙聖に近付けるようにしてあげます。
喜び勇んで沙聖に告白するレイですが結局吸血鬼とバレてしまい、悪魔祓い師の力で徹底的に焼き尽くされて浄化されてしまうから不憫でした（＾＾；
でもまぁ吸血鬼は不死なので灰になっても生き返れるようですけどね。
ここまで酷い目に遭わされても沙聖を諦めるつもりはないようで、今後二人がどうなるのかとても気になりますよ。
噂が噂を呼んで徐々に有名になるいずなですが、そんなある日自分の偽者が現れて詐欺を行っていると知るから怒って本人を訪ねます。
それがまた恰幅の良いオバサンでいずなとは似ても似つかないから酷いものですよｗｗｗ
当然霊能力など無くいい加減な占いで客を騙してるからいずなは抗議します。
ところが意外と需要があるらしく、他の客から逆に非難を浴びてしまうから困り果てるいずなです。
お陰でオバサンは益々調子に乗ってしまいますが、そんな事をしてれば当然痛い目を見るのが当たり前というもの。
本物の悪霊に取り憑かれてしまい、困っていた所をいずなに助けられてようやく改心してました。
ちなみにこの偽いずなにも乳首サービスあるから読むのがかなり苦痛で仕方ありませんでしたよ（＾＾；
最後に今巻ほとんどサービスシーンの無かったいずなの下着姿を載せておきます♪
扉絵ではいずなのビキニ姿やブルマ姿なども拝めるので目の保養になりますよ。
そんな訳で今巻は前半が物凄くシリアスで読んでて意気消沈してしまいました（＾＾；
復讐に生きた少女の末路が余りにも悲し過ぎて思いっきり凹みましたよ。
こんな悲惨な結末はぬ～べ～の時ですら無かっただけに胸が痛くて仕方なかったです・・・。
大切な人を殺されて復讐したいという心は本人にしか分かりませんが、それを止めるにはどうしたら良いかを考えると答えの無い迷路に迷い込んだように複雑な気持ちにさせられてしまいますね。
千佳羅の登場によって人間の復讐心について取り扱う事が多くなりシリアスな話が増えてますが、今回は特に重苦しくて悲しくなってしまいました。
その分後半はコメディ多めで軽く読めるのが救いでしたね。
偽いずなの話なんて前半のシリアスさが嘘のように馬鹿馬鹿しくて思わず笑ってしまいましたよ。
シリアスとコメディの両方を楽しめて今巻も凄く面白かったです。
次巻はそれにエロサービスも追加してくれると最高なんですけどねｗ
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